「100日後に食われるブタ 」について
2021年08月27日
コラムどうもこんにちは、mipigの皆川です。
良くも悪くも話題となっているYouTubeチャンネル「100日後に食われるブタ」をご存知でしょうか?
生後75日でお迎えされたミニブタの「カルビ」くん。
そのカルビくんを100日後に食べてしまうという前提でありながら、
対照的に可愛い日常生活を配信しているチャンネルです。
動画は一日に一回投稿され動画の終わりには「食べられるまで〜日」と食べられるまでの日数がカウントダウンされています。
食べるなんて可哀想という意見も多い中で、命を食べるということの重みを再認識するという肯定的な言葉も多いです。本当にカルビくんが最終的に食べられてしまうかは分かりませんが、こんなことはそもそも合法なのか?そして合法であったとしても倫理的にどうなのかなど私なりの考えも多いですがYou Tube動画にもまとめさせて頂きました。
▼動画を見たい方はこちらからお願い致します。
動画の内容をこちらの記事にもまとめさせて頂きます。
法律上の観点
動物愛護法違反でそもそも食べること自体が違法であるというコメント数件目にしましたが、
果たしてカルビくんを殺して食べることは違法なのでしょうか?
動物愛護法
第六章 罰則
第四十四条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
〜中略〜
4 前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
愛護法に記載されている「豚」はミニブタやマイクロブタも含まれる為、 ミニブタであるカルビくんももちろん対象となります。
ではブタさんを殺して食べることは違法なのか?
恐らく答えは”NO”です。
動物愛護法では動物を”みだり”に殺すことを違反としております。
正当な理由があれば違反とはならず、食べることが正当な理由とみなされる可能性もあります。
食べることが正当な理由となるのか
まずは前提としてブタさんは獣畜とみなされる為、畜場以外では殺すことはできません(と畜場法)
と畜場であれば食べることを目的にブタさんを殺して良いのでしょうか?
愛護法に記載がある”鶏”も、ペットでひよこから飼育して大きく育ったら食べる、というケースは珍しくはありません。
これを「命の授業」として、自ら飼育した鶏を自ら殺すことが、授業の一環となっている学校もあります。
教育的な目的、言わば「食育」であれば恐らく法律上は問題がない可能性が高そうです。
この「100日後に食われるブタ」もフードロスを改善することが目的であり、食育がチャンネルの趣旨であると公言しています。ただ本当に食育が目的かどうかはかなり怪しいです。
こちらは「100日後に食われるブタ」の海外向けフランチャイズ制度のご案内です。
冒頭でも 短期回収 & 高収益率 & 低固定費 とチャンネルを売りにしておりますが
全体的な商法を見ると食育よりは営利目的であるように見えてしまいます。
動画の内容もただ炎上を狙っていると思わせられるものもいくつかあります。
仮にカルビくんを殺して食べたとして、それが営利目的であるとみなされれば
社会的影響力がある動画として模倣犯の出現を阻止する目的で、処罰される可能性も十分にあり得そうです。
ブタだから良いという考え
仮に愛護動物を食べる行為が法的に全くもって問題なかったとしても倫理上どうなのでしょうか?
カルビくんが食べられる事に対して賛否両論あると伝えましたが、仮にこれが「100日後に食われる犬」であった場合にはどうなるか想像してみて欲しいです。
天秤は大きく変わり、賛同する人はかなり少なくなると思いませんか?
ペットのブタさんに対しても、「その子は食用?」と本気で聞いてくる人もいれば、おもしろおかしく言う人が多いです。
マイクロブタが実験動物として使われるようになった背景も、犬で実験することに対して多くの反対意見があったことも要因の一つにあります。 ブタは本来食べられる動物という考えが多くの人の脳裏で浮かんでいることも賛同する人が多い理由の一つだと思います。
殺すことでその有り難みは分からない
賛同する人を否定している訳ではありません。 より命に感謝できる、言わば「命の授業である」という考え方も理解はできます。
ただ殺す行為によって命の有り難みが分かる訳ではありません。
仮にカルビくんを食べずに、終生愛護した場合になんの問題があるのでしょうか?
ブタさんがどういう動物かを知らずに食べている人が多いです。
成長過程をみんなで見届け、ブタさんどういう生き物なのかを発信する方がよっぽど命に感謝できるのではないでしょうか? 殺すことより良い方法があれば、それを取るべきです。
触れ合うことで食に対する考えも変わる
私自身、昔は豚肉も食べておりましたし、肉を食すことに対して嫌悪感も疑問もありませんでした。 生活する中でごく普通のプロセスであり、何より味が好きでした。
マイクロブタと触れ合っていく中で徐々に豚が食べれなくなり、 今では肉全般を基本的には食べておりません。 だからといってヴィーガンではありませんし、魚類は食べたり乳製品は食べたりなど、 自分なりのエゴで線を引いていることを重々承知しております。
だからこそブタさんが大好きでありながらも、豚肉を食べる人を否定も評価も偏見を持つこともありません。
私の体も動物の命で育っており、その命に感謝しております。
ただ現に食べていない以上は、ブタさんを食べなければいけない存在であったり、 食べることを避けられないとも感じておりません。
そしてそれはブタさんと触れ合いブタさんのことを知ることで生まれた考えです。
これは私独自の体験ではなく、多くの人が体験しております。 以前mipig staffがmipigで働き始めてから豚肉を食べることに対して影響が出たかというアンケートをとり6割以上が影響が出たという結果を記事にしました。
▼その記事はこちら
今回は同じ質問を総勢202名の方に行いました。
今回テーマである「100日後に食われるブタ」についてもアンケートを取りました。
結果は以下のようになりました。
ペットブタさんの未来
最後になりますがペットブタさんの認知が広まり、新型コロナの一時的なペットブームの影響もあるのか、 多くの業者や個人がブタさんの販売をしているのが目に付くようになりました。
ブタさんの知名度が広がっていることは良いことですが、 成長後のことを考えず安易にブタカフェを開き店がつぶれてしまって里親に出すような業者が出てきてしまったり、悪質なのではないかと思う販売業者が増えてきているように感じます。無責任な販売業者が増えてしまっては、結果的に無責任な飼い主が増えます。無責任な飼い主が増えることで、飼育放棄をされてしまうブタさんが出てくる可能性は高くなります。これはペットブタさんの短い歴史の中でも何度も起こっており、その度に多くのブタさんが犠牲になってしまいます。そんな未来は絶対に阻止したいです。 自分達が完璧という訳でもなく、どうやったらよりブタさんが生きやすい社会になるのか日々考えながら切磋琢磨しております。ブリーダーや販売者は社会的に求められる責任を全うすることが今まで以上に求められています。なのでブタさんに限った話ではありませんが新しくペットをお迎えする方にできることとして、どこから引き取るのかということを考え、選定することが大事だと思います。
●● mipig 責任者 皆川 竜二
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