マイクロブタさん、空を飛ぶ
2020年03月05日
コラムどうも、こんにちは。mipig責任者兼マイクロブタブリーダーの皆川竜二です。
mipigのきっかけはイギリス/ウェールズでのマイクロブタさんたちとの出会いでした。
ただその出会いから日本に迎え入れるまでは長い道のりでした。
その道のりと思い出をこちらの記事にまとめます。
長い長い待ち時間
「このブタさんたちを日本に連れて帰る!」
イギリスファームとも輸入の話がつき、強い志はあったものの輸入に関して、知識もなかったため、動物輸入代行会社にお願いをしました。素人が動物の輸入を行うことはかなり無茶です。ブタさんのような偶蹄類は特に輸入がかなり厳しいと言われており、動物輸入代行会社に任せる方が安心です。ただそれでも輸入には時間がかかり、数々の関門をクリアしなくてはいけません。
病気を持っている動物を輸入すると、その病気が国内に広がってしまう可能性があるため、防疫対策を行う必要があります。
まずは血液検査。検査結果に問題がなければ、ブタさんたちは30日間の隔離期間を経ます。それだけではありません。出国直前に、血液検査を再度行い、更に出国予定時間の24時間以内に公的獣医官による検査を受け、感染性または伝染性疾病の兆候がないかどうかのチェックが入ります。
また、必要書類の数は多く、また、そのほとんどが英文です。全ての書類が整って、そこで初めてイギリスからの輸出が許可されます。
日本へ到着した後もすぐには引き取れず、日本の検疫所へ連れていかれ、また隔離期間を設けられます。これら全ての手続きは、トラブルがなければ、早くて2カ月ほどで輸入ができます。ただ、mipigの場合、トラブルが発生し、6ヶ月以上かかりました。
長期化した理由として、日本の検疫所の予約が取りづらいことでした。毎日のように動物が海外から日本へ来るため、常に満室状態で、一定期間の日程を押さえることが非常に難しいようです。そのため、イギリスで何かトラブルがあり、当初の輸入予定日から数日でもズレてしまうと、予約は取り直さなければなりません。検疫所の予約状況によっては一気に数ヶ月ズレてしまうこともあります。関門がいくつもあるため、全てがスムーズにいかないことが多いです。
イギリスファームのブリーダーさん、イギリスの血液検査を行う獣医師さん、イギリスでの隔離場、動物輸入代行会社さん、日本の検疫所など、全ての予定を一致させないと、予定日がどんどんズレていきます。国境を超えるため、やり取りの一つ一つに、タイムラグが発生し、想定していたスピードでは進まないことがほとんどでした。日本側とイギリス側の仲介役であった私は、板挟み状態となることも多かったです。(ハーフで、英語が使えることが救いでした)
ブタさん、空飛べず
色々便がズレた後、最終的には輸入する日程が決まりした。
ただそれでもトラブルは続きます。
輸入のタイミングがズレた事により、当初予定していた輸送箱にブタさんが入らなくなってしまい、輸送箱を作り直さなければいけませんでした。
そして一番のトラブルはフライト当日に起きました。イギリスからの認可がおりなかったのです。そして、追加で必要な書類を求められ、予定していた便をキャンセルすることに…。
イギリスとの時差があるため、このような連絡が来るのは基本的に深夜でした。ソワソワ寝れない日々が続いたことを今でも覚えています。国の認可が下りない以上、輸出することはできないので、すぐに別便を取ることになりました。多少ずれても良いように動物輸入代行会社さんは日本検疫所の予約は長めに取っていましたが、もう遅延の猶予はあまり残っていません。イギリスで行った血液検査も有効期限があるため、これ以上遅延してしまうと、今までの一連の流れがリセットされ、隔離からやり直し、という状況でした。
新しいフライト予定日当日、また悪夢のような電話が深夜にかかってきました。また、イギリスからの認可がおりないのです。ブタさんが近づいては遠のいていくという、繰り返しが続き、希望がどんどん薄れていきます。「もうブタさんが日本に来ることが出来ないのでは?」という最悪なケースを想定してしまいました。
イギリスファームに連絡したところ、少々諦めムード。必要な手続きを終え、必要な書類を全て整えている状況で、NOという一言で何もする事ができませんでした。そして、輸入代行会社さんに電話したところ、険悪なムードではありましたが、次の日の便を押さえ、そこで通すようにイギリスとは何とかする。日本の検疫所とも交渉し、何とかする。と、心強い返答に、どれほど救われたことか。
最後のチャンス
もう血液検査の有効期間も最終日であった為、最後のチャンスでした。
やり直す時間の猶予もお金の余裕もありません。
そして運命のフライト当日。
・・・・
誰からも連絡がありません。ブタさんが飛んだのか飛んでいないのか、朝を迎えるまで、分かりませんでした。
そして、輸入代行会社さんから、無事に成田空港についたという連絡が入りました。
イギリス側とは何とか話がつき、日本検疫所の了承も得て、ブタさんたちは便に乗り、日本に到着。なぜか、予定していた箱数が一箱多い状況で一悶着あったようですが、何とか検疫所へブタさんを移動することに成功した、という電話でした。
輸入代行会社さんのお力添えがなくては、本当にブタさんは空を飛べなかったでしょう。
ブタさんのような偶蹄類は輸入が難しいと聞いていましたが、直接的な手続きには携わらなかったものの、仲介役を務めるだけでもかなり大変でした。6ヶ月ほどの時間がかかり、輸入費用だけで最終的には高級スーパーカー以上の費用はかかりました。
ただイギリスから小型種のブタさんを輸入できたのは今のところ弊社のみです。(現在は豚コレラの影響もあり輸入はかなり厳しいでしょう)
お出迎え
日本での検疫を2週間終えた後、やっとブタさんたちを引き取ることができました。輸送箱に入っていたので顔を見ることはできず、ブタさんを車に乗せ、検疫所から山梨ファームへ。
山梨ファームへ到着し、手作りの小屋にブタさんを放ち、待ちに待ったブタさんたちと対面。
「みんなも大変だったね。」
長い道のりでしたがブタさんがいることで、やっと山梨ファームをファームと呼べるようになりました。
当時を振り返るとかなりストレスな日々でしたが、今、mipig cafeで走り回っているブタさんの姿や、お客さんの膝の上で寝てしまっているブタさん、カフェを卒業して家族の元で元気そうにしているブタさんの姿を見ると、輸入当時のストレスも全てが良い思い出です。
イギリスから来た子たちの、子供やそのまた子供たちが日本でオーナーさんと幸せな生活を築いていけることに感謝し、ブタさんたちの更なる飛躍を楽しみにしています。
●● mipig 責任者 皆川 竜二
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