ブタさんが巨大化してしまった
2020年11月20日
コラム
どうも、こんにちは。mipig責任者兼マイクロブタブリーダーの皆川竜二です。
「ミニブタだと思っていたらブタさんが巨大化してしまった。」
こんなニュースを一度は耳にしたことある人も多いかと思います。
想像以上に大きくなって飼えなくなって飼育放棄されたブタさんは世界中にたくさんいます。
なぜそんな事になってしまうのでしょうか?
その真相をこちらの記事にまとめて説明していきたいと思います。
世界で最も影響力のあるブタさん
日本でも何度かメディアに取り上げられた為、ご存知の方もいるかもしれませんが、海外の有名ブタさんで絶大な影響力を誇るのが、「エスター」というブタさんです。2キロの”ミニブタ“を引き取った結果それが300キロ以上まで大きくなってしまったというエピソードや、ほっこりする生活模様が話題を呼び、一躍有名ブタになったのがエスターの物語です。なぜミニブタが300キロ以上まで大きくなってしまったのか?ミニブタといえば多くても100キロほどです。なぜミニブタがその倍以上の大きさまで成長してしまったのでしょうか?その答えはエスターのオーナーさん自身が執筆した「エスター、幸せを運ぶブタ」という本にその経緯が記載されておりました。
エスターを引き取った後に獣医さんに見てもらったところ、尻尾が切られており、耳標の跡がある為、恐らく生まれたばかりの畜産ブタ赤ちゃんである可能性が高いと伝えられたそうです。ペットの販売するミニブタの尻尾を切ったり耳標をつけることなんてあり得ませんが、畜産では生まれてすぐに行う行為です。知人から急に譲り受け、その後は連絡も取れなくなったことと、何より結果的に300キロ以上にまで成長した事実を踏まえると、これが小型種のブタさんでなかったことが明白となりました。エスターは結果的に愛情をもって育てられたのでほっこりする話かも知れませんが、これよってミニブタやマイクロブタが存在しないという誤解も世界へ広がってしまいました。
ミニブタのイメージを悪くしたベイブブーム
これまでもブタさんのちょっとしたブームが起きる度に、ミニブタやマイクロブタと名を偽って畜産のブタさんを売りに出す詐欺ブリーダーが何度か存在してきました。1つ目は1995年に公開された映画「ベイブ」のヒットにより、世界中でちょっとしたミニブタブームが発生致しました。映画の中では小柄で子ブタさんのベイブ、非常に愛嬌もあり映画を見た人々はブタさんをペットとして欲しがるようになりました。
ペット用のミニブタブリーダーの数は当時少なかった為、その需要に漬け込む悪質ブリーダーが現れました。あまり知られておりませんが、養豚の子ブタさんは数千円で購入することができてしまいます。ペット用のミニブタといえば高値で売れ、 どのくらい大きくなるかは大きくなってからでないと分かりません。これに漬け込み、養豚の子ブタさんをミニブタさんと言って、販売する悪質ブリーダーが現れはじめました。ポットベリーなどの小型種ももちろん数多く引き渡されたと思います。ただミニブタがどれほど大きくなるか分からない人達にちゃんとした説明責任を果たさず、最終的に飼育できないオーナーが現れ、飼育放棄に繋がりました。マイクロブタが誕生する以前からこのようなことがあり、ミニブタでもかなり大きくなるというイメージにも繋がってしまいました。
マイクロブタを広めた2度目のブタブーム
2010年前後からイギリスでマイクロブタと呼ばれる ミニブタより更に小さいブタさん達が注目を集め始めました。 SNSの普及に乗じて、マイクロブタさんの可愛い写真などが多くの人々に広まっていくようになりました。
これが動物愛護先進国のイギリスの人の心に火がついたのか、需要性が一気に高まったそうです。ここでまた現れたのが悪質ブリーダー達です。 ティーカップサイズにしかならないという嘘であったり、ミニブタをマイクロブタだと言って販売したり、酷いブリーダーは養豚の子ブタをマイクロブタだと言って販売しておりました。この時のマイクロブタブームの火付け役であったジェーン・クロフトというブリーダーも これらの悪質ブリーダーであることが判明し、始業から僅か1年ほどで倒産に追い込まれました。ただこの1年そこらで売られてしまった”マイクロブタ”は数知れません。もちろん良質のブリーダーもいましたが、大きくなりすぎてしまったブタさん達が有名になってしまい、マイクロブタなんてものは存在しないと思われるようになってしまいました。提携先のイギリスファームのブリーダーさんも言っていましたが 悪徳ブリーダーの騒動によりマイクロブタブームも終息してしまいましたが、その後は良質なブリーダーしか残らなくなり、ブタさんも安定的に小型化していったそうです。
大きさが全てではないが大きいと大変
大きいブタさんも小さいブタさんも生態は同じです。私も大きいブタさんも大好きですしマイクロブタさんとはまた違った魅力を味わえると思います。
だがやはり大きいブタさんを室内で飼育することは現実的ではないことがエスターの本から読み取れました。可愛いとしても小型犬を飼ったつもりが大型犬サイズになってしまった場合、喜ぶ人はいません。大きい分パワー倍増、それによってダメージも倍増、飼育スペース、声量、ご飯、トイレの尿とその臭いなど、色々なものが倍増していきます。エスターを溺愛したオーナーでさえもうこれ飼育できないと心が砕けてしまって節もありました。
生活や環境にあっていない動物を向入れてしまうとその人ももちろんそうですが動物にも不幸を招きます。
エスターの場合はSNSで人気者となり、それによってオーナーがクラウドファンディングでお金を募って大きい農場を買い取ることができ、そこを行き場を無くした畜産動物のサンクチュアリ(保護施設)として活用し、エスターもオーナーも幸せそうで最終的には非常に良い話です。だが似たような経緯で引き取られたブタさんが、飼育放棄されてしまった数の方が圧倒的に多いです。
マイクロブタの存在を証明をするのも困難
「マイクロブタは存在しない」 海外の記事なのでもよく見かけます。 もちろんマイクロブタという品種のブタさんは存在しません。 ただそういう根本ではなく、「マイクロブタのような小さいブタは存在せず、 大きくなればみんなミニブタサイズになる。」 「マイクロブタは詐欺である。」という内容の記事を見かけることが少なくありません。エスターの物語や悪質ブリーダーの発生によりこういう認識が生まれてしまったのは無理もありません。
この子は3歳で15キロのブタさん、と言い張っても、 生後半年の子ブタさんではないと証明するのが少し難しいです。 今だからこそmipigのオーナーさんなどでも引き取ってから写真をSNSであげて頂いたり、 体重などの情報も公開して頂いているので、マイクロサイズのブタもいるという証明になっております。 mipigでは悪質ブリーダーの発生を防ぐ為に、必ず去勢、避妊を行ってからの引渡しを行なっております。 なのでmipigのブタさんが新しいブリーダーを生み出すことは不可能です。 これを徹底している理由が、悪質ブリーダーの発生を防ぐことが目的です。 悪質ブリーダーによって甘い営業トークによって予想もしていない大きさになってしまってはオーナーさんも困ってしまいますが、一番不幸になるのはブタさん達です。 歴史が物語っているように、知識のないオーナーさんによる衝動買いも危なければ、 儲かれば良いと考えるブリーダーも多い為、細心の注意が必要です。 ブタさんを引き取るということは、10年以上連れそうパートナーを引き取るということですのです。 購入検討の方は十分に検討、勉強した後で慎重に判断をするようにお願い致します。
●● mipig 責任者 皆川 竜二
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